訥々

椅子に座って夢の話をします。

現実のこと

知らないけど身近な味

疲れてるときに混ぜ物の発泡酒を飲むと、ディストピア系のSF小説に出てくる下級市民が飲む安酒のような味がする。 まるで工業用アルコールのような、鼻に抜ける異様な匂い。嗅いだことのある匂いだが、どこで嗅いだのか定かでない。 路地裏を歩くと、傍らに…

虫除けスプレーを探す

夏の夕暮れに庭の花に水やりをする。すると蚊がよたよたと寄ってきて、私の腕のあたりでホバリングした。 刺されると厄介だな、と思って、部屋に戻り、虫除けスプレーを探す。 たしかすごくよく効くものがあったはず。 どこで見たんだっけな。たしかパッケー…

朝にすること

朝起きて、自分がどの時期にいるのか、たまに分からないことがある。 自分は働いているのか、学生か、同居か一人暮らしか。家具の配置、ドアの位置、窓からの景色。 なんでこんなことが分からなくなるのか分からないけど、昨日の自分がつけたエアコンを消し…

訪れない待ち人

あまり暑くない夏の日に、ドーナツ屋で人を待っていた。 前日に突然「明日のこの時間に約束があったな」と思い出して、自分にしては珍しくドタキャンもせず、待ち合わせ場所にも10分前に着いた。 アイスコーヒーを飲みおわっても待ち人は現れず、私はそろそ…

現実のふわふわ感

‪たまに、現実感に乏しい時間というのがあって、そんなときとても悲しい気分になる。 自分はもうこの場所にはいなくて、現実だと思ってるのは自分が昔体験した場面を再生してるだけのような気分になって寂しくなる。‬ 古いビデオをひとりで観ているような気…