訥々

椅子に座って夢の話をします。

知らないけど身近な味

疲れてるときに混ぜ物の発泡酒を飲むと、ディストピア系のSF小説に出てくる下級市民が飲む安酒のような味がする。

まるで工業用アルコールのような、鼻に抜ける異様な匂い。嗅いだことのある匂いだが、どこで嗅いだのか定かでない。

路地裏を歩くと、傍らに転がるガロン缶。なにか溶剤が溢れている。近づいてみると、頭が痛くなるようなツンとした臭いのなかに、わずかにアルコールの香り――

いったい私がいま手に持っている発泡酒は、何から合成されたアルコールなんだろう…そんなことを考えながら飲む。